フランス政府は昨年5月、
同国の芸術や文化を支援する事などを目的に、
18歳の若者の文化芸術活動を資金的にサポートする、
300ユーロ相当の「カルチャーパス」を無料配布しました
(対象者は約80万人。商品は実店舗でしか受け取り出来ない)。
文化パスが利用可能な対象は、書籍や美術館、
演劇、絵画レッスンなど多岐に渡りますが、
結果として18歳の若者たちの6割以上が、
このカルチャーパスを日本の漫画のために利用しました。
そういった状況を受けてか、
仏政党「国民連合」の議員たちは先月28日、
カルチャーパスの対象から漫画を外す事を提案しています。
しかし仏公共放送の参加放送局である「フランス3」は、
政治家たちによるその提案に反論するように、
漫画がフランスの書店を救っている実態を報道。
複数の書店の経営者などの話を紹介しているのですが、
全ての関係者が、漫画を読書の一部として推奨。
「Plus Belles Les Bulles」という書店では、
売り上げの6割を漫画が占めるまでになったそうです。
また「Bédérama」という書店の店長は、
「日本のマンガは、読書から遠ざかっていた若者たちが、
小説の文学的側面に抱くネガティブな価値観を変えた」と、
漫画が若者に与えるいい影響を称賛しています。
漫画を一部の政治家が敵視する一方で、
書店の人たちは救世主と捉えているわけですが、
このような状況に、フランス人から様々な反応が寄せられています。
その一部をご紹介しますので、ごらんください。
「漫画は既に文化だ」 仏政府が若者に配布したクーポンの殆どが日本の漫画に使われる結果に
翻訳元
■■■ なぜマンガだけ除外なんだって話になるからなぁ。
ちょっとこの提案は無理があるよ。
+1■ カルチャーパスポートは大成功だったよね。
若者たちを本屋に連れて行ったんだから。
書店は久しぶりに若者の姿を目にする事が出来た。
若者たちが書店に行く事に慣れて、
マンガと一緒に小説を発見したり出来る。
そのきっかけになったと思う。
+317 ■ その通り!
副次的な効果もあるっていうのに、
政治家はそういう事を理解出来ないようだ。
+130■ 自分はフランスとベルギーのコミック業界で働いてる。
そんな自分も日本のマンガの大ファンで、
フランス文化に大きな付加価値を与えてると思ってる。
だけどそれでもマンガとカルチャーパスの関係性に悩んでる。
今でもカルチャーパスが機能してるのは、
マンガが原動力になってるのは間違いない。
問題は、フランスの出版社がますますマンガに傾倒して、
バンド・デシネ*の著作権を売り飛ばしてる事だ。
+14 (*フランスやベルギーなどを中心とした地域の漫画を指す)
■ 文化の定義は一部の人たちで決められるものではない。
+52 ■ 王党派のマンガがあったりするから、
それで不都合に思ったんじゃないの?
■ 実は聖書や「資本論」に関するマンガさえある。
しかも内容はしっかりしてるんだ。
+3 ■ 昭和天皇を題材にしたマンガもあるよ。
+2 (※「昭和天皇物語」。
ビッグコミックオリジナルで17年より連載中)
「世界史の皇帝で一番好きだ」 世界の若者たちの間で昭和天皇が大きな話題に■ で、マンガより文化的なジャンルって何なの?
政治家たちは真面目に仕事に取り組もう。
自分はマンガは読まないけど、そう思う。
+33 ■ 個人的にはマンガどうこうと言うより、
なぜアーティストや大衆芸能の会社だけ、
こうして補助があるのかは疑問に思う。
+6■ 自分も文化の一形態としてマンガは好きだ。
だけどカルチャーパスの目的は何なの?
いや、若者に文化を広める事なのは分かってるけど、
マンガは元々若者たちにかなり人気じゃん。
+6 ■ 言ってる事はよく分かるよ。
税金がコミックやマンガに使われるのは構わないけど、
どうしても限度はあるからね。
だけど議員がマンガだけを禁止にしたいのは、
「金銭的な問題」だと騙されてはいけない。
+6 ■ カルチャーパスの目的は、
若者に書店に足を運んでもらうため。
実際には補助金を受けてるのは書店で、
出版社ではないんだよ。
+18■ 「星の王子さま」もイラストが多いけど、
読書のうちに入らないって事で除外するのかな?
+4■ 面白い事に、ナポレオンやジャンヌ・ダルクのような、
偉人と称される人たちのマンガだけじゃなくて、
ヴィクトル・ユーゴーのような作家の生涯も、
日本ではマンガ作品になってる。
政治家はその事を知っておくべきかも。
+32「日本アニメの最高傑作だ」 今も『ベルサイユのばら』を愛するフランスの人々 ■ そのユーゴーがもしも今の世界にいたら、
商売敵のマンガが売れる事を、
よしとはしなかっただろうけどな。
+5 ■ フランスの歴史を扱ったクールな作品なら、
個人的には「イノサン」をオススメしたい。
信じられないくらいに素晴らしい描写、
作中に漂う最高の歴史的雰囲気、
マルキ・ド・サドと同じくらい、
ゴシック・ロマン主義に影響されたプロットなど、
魅力的な面が沢山あるんだ。
+10■ 自分の息子は思春期に入ってからマンガの大ファン。
1、2年前くらいにマンガに出会ったの。
そのあたりからラヴクラフトの小説にも興味を持って、
同じように熱烈なファンになってるよ。
ちなみにバンド・デシネには一切興味を持っていない。
+64 ■ 面白いバンド・デシネに出会ってないからでは?
フランスとベルギーのコミックは、
「タンタンの冒険」とかだけじゃないよ。
+34 ■ もちろん両国にも優れたコミックはあるけど、
若者は経済的に限界があるわけだし、
マンガと競争するのは厳しいだろうな。
バンド・デシネ1冊を買うお金で、
マンガなら複数巻買えるわけで。
+15■ 日本がバンド・デシネの、
世界第2位の消費国になってくれればなぁ。
何であまり輸出出来ないんだろう。
+3仏「日仏は両想いじゃないか」 日本人にフランスのイメージを訊いてみた ■ 日本では中古のマンガ本を100円で購入出来る。
30ユーロもしてしまう輸入本を、
わざわざ日本の読者が求めるだろうか。
+2 ■ 生産価格がまず違うんだよ。
日本のマンガは中品質の紙に、
白黒で印刷されてるから。
A4サイズで全ページカラーのコミックは、
どうしても値段を上げざるを得ない。
+12■ こういう事を言い出す政治家は有権者の5割を失うぞ。
+2■ マンガをパスから外す提案をした政治家たちの心にも、
刺さるマンガは色々あると思うんだけどなぁ。
+2■ 政治家「若者たちに本を読んでもらいたい!」
若者「よっしゃー、日本のマンガを買うぞ!」
政治家「い、いや、そういう本じゃなくて……。
私たちは若者に本を読んでもらいたいんだ!」
若者「よっしゃー、日本のマンガを買うぞ!」
政治家「だから〜!!!」
+3■ なぜかメディアは今回の修正案を提出した、
政治家の名前を記事に載せないね。
+138「日本人との民度の差だよ」 仏の大物政治家が東京とパリの差を指摘し論争に■ マンガは以前はサブ的なアートだったけど、
こうして一般的な文化になった今、
エリートたちの新たなターゲットになっている。
なぜマンガだけが外されるのか、
その合理的な理由を示してくれと言いたいね。
+2■ ツイッターのプロフィール画像を見て欲しい。
若者たちはこぞってマンガのキャラを使ってる。
+5■ 書店からすれば売れるかどうかだ。
マンガは彼らに沢山の売り上げをもたらしてくれる。
とどのつまり、チャンスが生まれてるんだよ。
■ 読書は音楽と同じ。
自分の心に響くかどうかで、駄作はない。
マンガ、コミック、バンド・デシネ 、小説……。
どれを手に取っても構わないが、大切な事は読む事。
そして読む事が好きである事なんだよ。
+12
なお漫画をカルチャーパスから削除する提案は、
文化大臣などによりあっさり拒否されています。
また、文化大臣は提案を拒否する際に、
「ナポレオンやジャンヌ・ダルクが題材の漫画もある」
という内容の発言で漫画を擁護しています。
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